ジョー・バイデン米大統領は、任期初日に世界保健機関(WHO)からの米国の脱退手続きを停止した。この決定の前提となったのは、WHO脱退や資金拠出停止よりも、WHO内部から改革を進める方が大きな効果があるとの考え方だ。この論理が正しいかどうか試される場面が、間もなく訪れる。ドナルド・トランプ前大統領は昨年、米国のWHO脱退の方針を示した際に「中国がWHOを完全に支配している」と語った。これはトランプ氏にありがちな大げさな表現だったが、彼の指摘は的を射ていた。WHOのテドロス・ゲブレイェスス事務局長は、新型コロナウイルスへの中国の対応を「言葉で言い尽くせないほど、非常に見事だった」と称賛した。しかしその中国は、ウイルスサンプルを破壊し、警鐘を鳴らした人々を黙らせ、陰謀説を拡散させた。