写真:日本銀行本店日本銀行本店 Photo by Ryosuke Shimizu

金融緩和策の一つとして、日本銀行が上場投資信託(ETF)を購入していることに関しては、さまざまな懸念の声がある。そこで本稿では、すでに広く指摘されている二つの問題点に加えて、地味で見落とされがちではあるものの、「厄介な五つの問題」について取り上げたい。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

日銀のETF買いに潜む問題
本当は全部で7つある

 金融リテラシーがあって、頭のいい超大金持ちがいるとしよう。この人は株式投資をしていて、しかも現在大いにもうかっている。この投資家の株式投資については、誰しも心配をしないのが普通だろう。しかし、いくつかの事情があって心配でたまらない投資家がいる。今や、日本株の最大の保有者である日本銀行だ。

 日銀の上場投資信託(ETF)を通じた株式投資については、さまざまな懸念の声があるのだが、本稿では現時点で割合地味だが厄介なものを五つ取り上げる。

 本論の前に、すでに広く指摘されていて地味でない二つの懸念について簡単に述べておく。