今回の緊急事態宣言は外食産業にとって
前回以上に死活問題となる

 政府の経済政策である「GoToトラベル」に続き、「Go To イート」が2020年10月1日から開始。一時的に回復傾向をみせたが、11月14日には予算に達する見込みとなり、予約受付を順次、締め切った。

 年が変わって今年2021年1月7日、衰えるどころか勢いを増し続ける新型コロナの感染が急拡大する首都圏の1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を対象に、1月8日~2月7日までを期限とした2度目の緊急事態宣言を発令。1月14日には栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県へと対象が広がった。

 飲食店においては、酒類の提供は午後7時まで、営業時間を午後8時までとした。要請に応じた店舗には協力金として1店舗当たり1日6万円、ひと月で最大180万円を支払う。ただし、宅配やテイクアウトは時短要請の対象外となる。

 早速、ワタミでは時短営業の要請を受け、一律6万円の協力金に不満を示しつつも、全100店舗のうち8割以上となる83店舗の居酒屋を休業することを発表。社員およそ200人をスーパーや農業などへ派遣して雇用を守るとしている。

 政府は2月7日までの事態収束に意欲を見せるものの、外食産業にとって予断を許されない状況はしばらく続くといえよう。とくに首都圏を主戦場とする飲食店チェーンにおいては、前回の緊急事態宣言以上に死活問題となるはずだ。

 コロナ禍がこのまま続けば、飲食店チェーンの経営状況はますます悪化し、閉店の追加発表は続いていくであろう。

 このように、大型の飲食店チェーンが、首都圏だけでも1000店を優に超えようとする閉店状況に陥る中、「空き店舗」はどのように活用すればいいのだろうか? マーケティングにおける「競争戦略」(competitive strategy)を切り口にして、空き店舗の今後の展開方法を大胆予測してみたい。

「逆転の競争戦略」理論を軸に
空き店舗の今後の展開方法を考えてみる

 競争戦略といえば、アメリカの経営学者、ハーバード大学経営大学院のマイケル・ポーター教授が提唱する「3つの競争戦略(コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)」等が有名だ。そのほか多くのマーケティングの研究者が、実にさまざまな競争戦略を論じている。日本では早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授の「逆転の競争戦略」が有名だ。今回は山田氏が提唱するこの理論を軸に考えてみよう。

「逆転の競争戦略」の「逆転」とは、「業界下位の企業が業界1位の企業を逆転する」「業界1位の企業の強みを分析して攻撃方法を考え、弱みにする」という2つの意味を持つ。

 そして業界1位の企業、つまり「リーダー企業」の「強み」を「弱み」に変えるには、下記の3つの立場からリーダー企業を倒す戦略の定石を「逆転の競争戦略」は提示している。

(1)挑戦者:同業の企業
(2)侵入者:隣接する業界からの企業
(3)破壊者:業界ごとなくそうとする企業

 この3つの立場を外食産業の現状に置き換え、空き店舗の今後の展開方法を考察してみよう。