ジョー・バイデン新政権は、誕生後まだ1週間も経っていないが、外交政策面で最も影響の大きい決定は、既に下されたと見ていいかもしれない。バイデン氏は中国に対し、平和時の米政権が発足間もない時期に特定の大国に示したものとしては前例がないほど最大級の攻撃的対応を相次いで打ち出した。こうしたバイデン大統領の挑戦的姿勢は、中国にとって無視できないものだ。台湾の駐米代表の大統領就任式への招待(1979年に米国が中国と正式に外交関係を結んだ後では、こうした対応は初めてだった)に加え、間もなく出来上がるバイデン政権のチームは、台湾への武器売却の継続を約束している。バイデンチームはまた、米中間の高官級交渉について、同盟諸国との協議後に先送りしたいとの考えを示唆しており、中国側はこれを拒絶の姿勢と受け止めるだろう。これでも十分ではないと言うかのように、次期国務長官に就任予定のアントニー・ブリンケン氏は、中国が新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を中心とした少数民族へのジェノサイド(民族大量虐殺)を行っているとする前任者のマイク・ポンペオ氏の見解に同意すると発表した。海軍の打撃群を南シナ海に派遣するという以前からの計画と合わせて、これらすべての対応は、中国政府への厳しいメッセージになっている。