新型コロナウイルス予防ワクチンの供給不足が、欧州の接種計画を脅かしている。最もぜい弱な高齢者層をワクチンで守るとともに、近く経済活動を再開できるのか、懸念が高まっている。ここにきて新たな痛手となったのが、ドイツ政府の諮問組織が28日、英製薬大手アストラゼネカ製のワクチンについて、接種の対象を18~64歳に絞り、65歳以上には投与すべきではないと警告したことだ。この年齢層に関する有効性について、十分なデータが得られていないためとしている。諮問委の勧告が正式発表の前に流出した。欧州医薬品庁(EMA)は29日、アストラゼネカのワクチンを承認するとみられており、高齢者の接種は勧めないとするこの勧告も公表される見通しだ。そうなれば、独政府は65歳以上の接種を控えるかどうか、正式決定する必要がある。こうした状況を背景に、コロナ感染で死亡率が最も高い高齢者層への接種を優先に掲げてきた欧州のワクチン普及計画は、狂いが生じかねない状況に置かれている。