麻生太郎財務大臣は早々に否定したが、全ての国民に一律10万円の支給をもう一度行うべきだと、筆者は強く思う。その理由について、麻生大臣のような反対派の人が「再支給はありかもしれない」と思える説明を目指す。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
麻生財務大臣は否定したが
「一律10万円」再給付は絶対やるべき
昨年発生した新型コロナウイルスの感染拡大第1波において行った「国民全員に一律10万円」の現金給付を、ぜひもう一度行うといい。筆者は強くそう思う。
折しも首都圏、関西圏などに発出された緊急事態宣言は延長が決定した(栃木県は解除)。コロナの感染は全国に広がっており、今後は「変異種」への懸念もあるが、その中でも経済は重要だ。今は、再度の給付を決めるにふさわしい時だ。
しかし、麻生太郎副総理兼財務大臣は、早々に同様の一律給付を行うことを「やる気はない」と否定した。
筆者が推測するに麻生大臣は、(1)部下である財務省が恒常的に財政赤字の拡大を嫌うから、(2)給付とその実質的な財源負担の関係を理解していないから、(3)メリット配分に影響力を持ちたいという与党政治家の本能が働いたから、国民一律の給付を否定したのだろう。いずれも理由には不適切だが、気持ちは分からなくもない(たぶん、意識の上では〈1〉と〈2〉だけだろうと思うが)。
本稿は、例えば麻生氏のような人が「一律の現金給付をもう一度やるのは、ありかもしれないな」と思える説明を目指す。