「コロナ」下の2020年、日本のM&A史に残る大型案件が相次いだ。歴代上位10案件のうち、この1年だけで3件がランクインした。2位のソフトバンクグループ(SBG)は売り手、位のセブン&アイ・ホールディングスは買い手、10位の日本ペイントホールディングスは対象(ターゲット)で、立場も三者三様となった。TOBでもNTTドコモ完全子会社の特大案件が飛び出した。(M&A Online編集部)

 日本企業による大型M&Aの幕が開けたのは1980年代後半。舞台は米国だ。1988年にブリヂストンがタイヤ大手のファイアストン、1989年にソニーがハリウッド映画を代表するコロンビア・ピクチャーズ、三菱地所が米経済の象徴とされるロックフェラーセンターを立て続けに買収した。買収金額は順に約3160億円、約2180億円、約6800億円と当時としては破格のスケールだった。

 日本はバブル景気に沸き、空前のカネ余りが大型M&Aに向かった。1990年には松下電器産業(現パナソニック)が約7400億円でユニバーサル映画などを傘下に持つ米娯楽企業MCAを買収した。買収対象はいずれも“ミスター米国”ともいえる企業だったことから、買いあさり批判を浴び、激しい日本バッシングが起きた。

 コロンビア・ピクチャーズは今もソニー傘下で、コンテンツビジネスの中核を担い、ブリヂストンのファイアストン買収は海外M&Aの成功例としてしばしば紹介される。一方、三菱地所、松下電器は買収先をコントロールできず、早々に手放すことになり、失敗の典型事例としてその後の日本企業に多くの教訓を残した。

 時は流れて現在、大型M&Aの“三羽烏”といえば、SBG、武田薬品工業、JT(日本たばこ産業)だ。SBGは英半導体設計大手アームの買収と売却で2~3位を占めるほか、通信子会社ソフトバンクの買収案件が7、8位とトップ10にグループで計4件入る。武田は首位、JTは4位とトップ10入りは1件だけだが、“次点”の案件を複数手がけている。