ジョー・バイデン米大統領は、バラク・オバマ元大統領が残した「遺産」の継承を主張して大統領予備選を戦った。バイデン氏は今、遺産の内容に強い疑念を抱く民主党内の活動家らに取り囲まれている。医療保険制度改革法(オバマケア)に関する疑念は、同法が保険会社に主導権を残したこと。予算総額8310億ドル(現在のレートで約87兆円)の2009年米復興・再投資法に関する疑念は、あまりにも小規模で控えめな内容だということ。金融規制改革法(ドッド・フランク法)に関する疑念は、大銀行に対する厳しさが足りないということである。バイデン氏に対する進歩派のメッセージは、同じ過ちを繰り返してはならないというものだ。米国の大半の巨大銀行の規制当局である通貨監督庁(OCC)のトップ人事を巡る争いの大本にあるのも、オバマ氏の遺産とバイデン氏の政策課題との間の摩擦だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、バイデン氏がミシガン大学のマイケル・バー教授(公共政策学)をOCC長官に指名することを検討していると報じてきた。