韓国はこれまでトランプ前大統領と金正恩国務委員長(当時)のシンガポール首脳会談を継承したい考えを示してきたが、米国にはその選択肢はないだろう。米国は北朝鮮の現実を正確に捉えている。

 米国は北朝鮮の善意を信じていないし、文政権の楽観論も信じていない。したがって、米国から一方的に譲歩することはない。過去の失敗も繰り返さない。北朝鮮に譲歩を迫るためにはより効果的な圧力として何があるのか検討していくことになる。その間、北朝鮮の核・ミサイルによる暴挙をいかに抑えていくかがもう一つのカギである。そのためにも、日米韓のしっかりした連携が必要なのである。

米韓合同軍事演習の
復活は不可欠

 金正恩総書記が米韓合同軍事演習の中止を求めたのに対し、文大統領は記者会見で「必要なら北朝鮮と軍事演習について協議できる」と述べた。しかし、米国は演習を行うかどうか、どのような演習ができるかを米韓同盟の試金石と考えている。

 米国議会のシンクタンクである議会調査局は、文大統領が北朝鮮との協議に言及したことについて「米国の政策に反する北朝鮮との交渉を提案した」として強い懸念を表明した。

 バイデン氏は文大統領との電話会談で、「米韓同盟は極東アジアの核心軸」と述べ、「両首脳はなるべく早急に対北朝鮮戦略をまとめていく必要があるという点で意見が一致した」という。

 この書きぶりから次の2点が指摘できる。

 第一に、日米は「インド太平洋の礎」であるが、韓国は「北東アジアの核心軸」であり、同盟関係としては中国に気遣いの著しい韓国に対する信頼が欠けることを表している。

 第二に、韓国および同盟国を北朝鮮から防衛するためには韓国の全面的な協力が不可欠だということである。そのためには、米韓合同軍事演習を再開し、戦時即応体制を再点検しておくことが不可欠である。また、韓国が勝手なことをしないようタガをはめる必要を感じているということだろう。