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銀行至上主義では
創造力の発揮は困難

 前回のコラム掲載から約1週間後の1月27日、山口フィナンシャルグループ(YMFG)は福利厚生代行事業会社「イネサス」を設立した。地元企業への福利厚生サービスの提供や、サービス提供側の機会を創出することで、地元企業の雇用の安定と地域内経済の循環、活性化を同時に実現しようという試みだ。

 これまでの「銀行グループ」では、何をするにも、中核である銀行事業に直結した利益貢献が「シナジー」として求められ、地域のプラットフォームとして新たなビジネスモデルを構築するという発想は乏しかった。

 地方銀行でもこのところ、持ち株会社に移行する動きは目立つ。しかし、せっかく持ち株会社に移行しても、グループ内の意思決定、優先順位付けで「銀行至上主義」がまかり通れば、地域に価値をもたらす創造力を発揮することは難しい。旧態依然な「銀行脳」を超えることが地銀業界の問題の核心なのだ。