銀行再編の黒幕#16
Photo by Takeshi Shigeishi

10月、群馬県や埼玉県を地盤とする東和銀行がSBIホールディングスと資本提携した。特集『銀行再編の黒幕』(全16回)の最終回は、東和銀の吉永國光会長が、SBIグループと手を組んだ理由を明かす。

SBIと共同ファンドを設立した狙い
「資金繰り支援でコロナ禍を乗り越える」

――SBIホールディングス(以下、SBI)と提携した理由は。

 私どもがつくり上げた預貸金のビジネスモデルは、マイナス金利のために立ち行かなくなっている。そこでSBIと提携し、私どもだけではできないことをやる。それが地元企業への資本支援であり、そのための共同ファンドを設立する。

 中小企業向けの貸出金残高は今年、通常の倍以上増えている。企業からすれば明らかに借り入れ超過だ。この状況が続けば、企業は本業より返済に力を注がなければならなくなる。

 ファンドは5億~10億円で組成し、その大部分はSBIに出資してもらう。そこから私どもの顧客に株式取得、社債引き受け、劣後ローンといった形で資本性資金を供給する。供給先はうちが決めていいという方向で話を進めている。

 SBIが取得する当行の株式比率は1%。資本関係は最小限で、これまでの提携にはないファンドをつくることが最大のポイントだ。資金繰り支援は私どもの全てのお客さまが対象で「誰一人取り残さない」という覚悟だ。それが結果として銀行の収益を守ることになると考えている。

――「資本を増やしたい」という声は実際に融資先企業から多く聞かれるか。

 今はそれほどではないが、これから増えると思う。地方の中小企業はファイナンスの手段がほとんどない。借り入れはどんどん増えているが、仮にコロナ禍前の7割しか売り上げが回復しなければ返済できない。

 銀行自体が資本を出せるような法改正も検討されている。しかし私どものような小さな銀行がすぐに使えるとは思えない。SBIは「数カ月でファンドをつくる」という。いざというときのために、手段を用意しておかないといけない。

――SBIは本当に「金は出すけど口は出さない」のか。SBI側のメリットは何か。