コロナ消毒の現場に駆け付けたら
事務処理のおじさんが普通に仕事中

 その後、連日連夜、何件もコロナ消毒の仕事を入れられた。職場内の人がよく触る場所を拭いたり、床などを消毒したりした。

「消毒してほしい」という依頼がどんどん来る。「科学的根拠よりも、消毒業者が来て措置してくれたことに依頼する企業は安心感を求めていた感じがします。対外的な説明にもなる。会社としての体裁もあるのでしょう。僕が勤めていた清掃会社は、ここぞとばかりに消毒していました」(佐々木さん)

 20年4月以降、コロナの陽性者や濃厚接触者が続々と出て、いろいろな業態の現場から消毒依頼の電話がひっきりなしにかかってきた。

「実際に依頼を受けて消毒に行ってみたら、事務処理をしているおじさんとかが職場に普通にいるんです。こっちは防護服を着て駆け付けているのに、えっ?立ち入り禁止じゃないの?って驚きました。そういう緊張感のない、よく分からない曖昧な現場で消毒していました」(佐々木さん)

 その防護服も、夏場の間は体感気温が「50度くらい」。空調も付いてない環境でずっと消毒作業をしなければいけない。夏場は本当に過酷だったという。

「厚生労働省は有効なコロナ対策に関するエビデンス(科学的根拠)を出していますが、実際の現場でそれが実行できているのかについては疑問でした。実際、防護服もマスクも手袋も手に入りにくい時期がありましたし、消毒作業に行くときは感染症用の防護服を着ているわけではない。アスベスト対策で使われるような、通気性のある紙のような防護服でした」(佐々木さん)

 しかも、消毒に出掛ける従業員には、形骸化した体温測定があるだけでPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も義務付けられていなかったという。

「同僚に感染者が出たという話は聞いていません。しかし、原因不明の熱が出た人はいました」(佐々木さん)