世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。国によって死亡率に差があることから、BCGワクチンの接種が「有効」ではないかという仮説が広まり、一部の国で臨床研究が始まった。BCGはコロナとどう関係するのか。東北大学副学長で、東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授に、緊急寄稿してもらった。
100万人当たりの死者が多いスペイン、イタリア
新型コロナの死亡率に国別で差がある理由はなぜか
4月7日に緊急事態宣言が発せられた。日本はあと1カ月で新型コロナウイルスに打ち勝つことができるのだろうか? こんな時期だからこそ落ち着いて考えてみたい。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界の感染者数は178万人を越え、死者数は10万人を超えた。現在、感染者数がもっとも多いのは米国で53万0006人、次いでスペインが16万6019人、イタリアが15万2271人と続く(4月12日時点、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計<https://coronavirus.jhu.edu/>による)。
一方、重症化して死に至る人の数でみると、米国が2万人を超え第1位に。次いでイタリアで1万9468人、スペインが1万6972人、フランスが1万3832人となっている。
感染者数は新型コロナウイルス陽性者なので、検査数によって大きく異なる可能性がある。また、死亡者数も国の人口と比較する必要がある。そこで問題となるのが死亡率だ。
Our World in Data(https://ourworldindata.org/grapher/total-covid-deaths-per-million)というサイトのCOVID-19情報(図1参照、4月11日時点)によれば、人口100万人に対する死者数の割合の上位3国はスペイン(338.8)、イタリア(311.7)、フランス(202.1)。米国では56.7、日本は0.69となっている。
当初、COVID-19の蔓延は中国、韓国に限局した感染症と捉えられていた。しかし3月以降、欧州や米国での感染爆発の方がはるかに凄まじい。従って死亡率も時系列に沿って見ていく必要がある。