大量生産・大量消費型の継続…
自動車産業の本質が変わる気配なし

 コロナ禍での自動車産業の変化を探る中、東京ビッグサイトで開催された自動車の先進技術展「第14回 オートモーティブ ワールド」(2021年1月20日~22日)にて、「アフターコロナ時代、自動車産業の何がどう変わるのか、変わらないのか?」という題目で筆者は特別講演として登壇した。

 その中で、収容人数1000人規模の会場で、入場者数を制限し、席の間隔を空けてソーシャルディスタンスを保った状態で集まった数百人の聴講者に対して筆者から「コロナ禍の影響で、自動車産業は本質的な変化があったと思うか?」と質問を投げかけた。

 回答は「大きく変わった」「まったく変わらない」「大きな地殻変動がすでに起こっておりこれから大きく変わる」「もう少し様子を見ないとなんともいえない」の4者択一。挙手していただいたところ、「大きく変わった」と「まったく変わらない」は少数で、「大きな地殻変動がすでに起こっておりこれから大きく変わる」と「もう少し様子を見ないとなんともいえない」が多数であった。

 至極当然な結果だと思うが、こうした回答も受けて改めて実感したのは、現時点での「EVシフト」に関する議論は結局、大量生産・大量消費を最優先する旧来型の自動車産業を継承するだけという点だ。

写真:ホンダ初の量産型EV
ホンダ初の量産型EV「ホンダe」の電動プラットフォーム。中大型EVプラットフォームは米gmとの連携 Photo by K.M.

 近年、「100年に一度の大変革」と称して、CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアリング、エレクトリシティー)や、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)が次世代車関連の技術として注目を集めたことは、広く知られるようになった。

 その上で、CASEやMaaSを理想的に運用し、カーボンニュートラルを真正面から捉えようとすれば、車を利活用する場所、時間、目的などをリアルタイムに把握、または過去実績から未来需要を予測することで、必要とする台数を的確に割り出し、さらにさかのぼることで生産台数を最適化することが求められる。

 しかしコロナ下で起こっていることは、自動車メーカーとディーラーの収益回復のために「より多く製造し、より多く販売する」ことに他ならない。

 さらに、ESG投資を優先する電動化の存在感が増しているが、これもガソリン車やディーゼル車からの買い替え需要という解釈にとどまっているように感じる。コロナ禍で人々に行動変容が求められる一方で、自動車産業の本質はまだ何も変わっていないのである。

 企業人、またユーザーとして、こうした実情に「なんだか、しっくりこない」と感じる人が多いのではないだろうか。