投資家は温室効果ガスの「排出実質ゼロ」計画を精査する必要がある。企業の価値とリスクを評価するためだが、幸いなことに簡単な方法がある。企業は二酸化炭素(CO2)の排出コストの上昇に直面している。欧州連合(EU)の排出量取引価格は今月、1トン当たり約40ユーロ(約5100円)近くまで上昇し、過去最高を記録した。2030年までには多くの国で、100ドル(約1万500円)を超える炭素税が課される見通しだ。企業の炭素排出量や炭素除去計画については極めて限られた情報しか入手できないため、CO2削減テクニックの活用法の分析は、リスクの高い企業を見抜く方法として有効かもしれない。CO2削減の取り組みは全業種に影響する。特に排出量の多い業界は大幅な金融リスクに直面する。石油・ガス企業はその存在に関わる疑問にぶつかる。「排出の削減が困難」と言われる業界――航空、セメント、長距離トラック輸送、プラスチック、海運、鉄鋼――でも問題は深刻だ。多くの投資家は率先して対策を講じている企業と出遅れている企業を区別したいと考えている。