そのためには、2月22日の大阪地裁判決は確定判決となる必要がある。直接の被告とされた大阪府内の12自治体が控訴を断念すれば、確定する。といっても、その判断を実際に行うのは厚労省である。

厚労省職員に
先輩の「愛のムチ」は響くか

 2013年に行われた生活保護基準引き下げの撤回を求める集団訴訟「いのちのとりで裁判」は、2014年より開始された。現在も約900人の原告によって、全国の29都道府県で継続中だ。

 愛知県では、2020年6月に「2012年に自民党が引き下げると決めて、国民が支持したのだから、しかたない」という内容の名古屋地裁判決があった。判決を不服とした原告が控訴したため、現在は高裁で控訴審が行われている。2月22日の大阪地裁判決は、2つ目の地裁判決であった。名古屋地裁判決と合わせると、「当時、自民党と国民感情が支持していたからといって、デタラメな根拠で引き下げたことは許されない」という内容となる。

 大阪地裁判決から2日後の2月24日、大阪地裁で勝訴した原告ら、「いのちのとりで裁判」弁護団の弁護士ら、および支援者らは、厚労省に保護課職員に申し入れを行った。東京・霞が関の厚労省を直接訪れた人々も、ネット中継で参加した人々もいた。

 霞が関を訪れた原告のSさん(68歳・男性)は、申し入れの様子を次のように語った。

「今日は、厚労省からは保護課の課長補佐の方が出てました。上の人に『お前ら、行って来いよ。話聞くだけ聞いてきて、何も答えるな』と言われて来た感じでした。もともと厚生省職員だった弁護士の尾藤先生が怒ってました」(Sさん)

 弁護士の尾藤廣喜さんは、京都大学法学部を卒業後、厚生省に入省した。1970年から1973年にかけて、厚生省職員として生活保護をはじめとする制度の充実に取り組み、健保の高額医療費制度の創設にも関わった。しかし限界を感じ、転身して弁護士となった経歴を持つ。Sさんによれば、尾藤さんはこのように怒ったという。

「尾藤先生は本当に厳しく、『お前ら、ホンマに仕事しとんのか。昔は、骨のある役所の人間がおったんや。今はみんな忖度主義者や』みたいな」(Sさん)