生活保護費引き下げを前に
中高生の未来を応援する
2018年10月1日、つまり本記事の公開から3日後、6月に再改正された生活保護法が施行される。同時に、生活保護基準のうち生活費分(生活扶助)の見直しが実施される。今回の見直しは「ほぼ引き下げ」(最大5%)で、複数の子どもがいる世帯に対する引き下げ幅が特に大きい。
複数の子どもがいる生活保護世帯は、2013年に行われた生活費分の引き下げ以後、2015年の家賃補助(住宅扶助)・暖房費補助(冬季加算)引き下げなどの積み重ねで、ジワジワと締め付けられ続けている。家計は、今でさえ青息吐息だ。日々の暮らしや学校生活や地域での生活は、これからどうなるのか。「知り合いのおばさん」の立場から、心配でならない。
さらに同日、6月1日に再改正された生活保護法が施行される。生活保護世帯の子どもが大学などに進学する際に、10万円(自宅外の場合は30万円)の一時金を給付するという内容は盛り込まれているのだが、進学後に生活保護の対象から外れる取り扱いは現在と変わらない。現在の大学生活の困難は、ほぼ解消されないだろう。また、これまで現金で給付されてきた「学習支援費」は、10月以後、ほぼクラブ活動の実費のみとなる。
その法改正の直前の5月30日、大阪府・堺市は、生活保護世帯の中高生向け未来応援BOOK『ココから!』を作成したことを公表した。明るいイメージの表紙をめくると、「私たちは、頑張っている中高生のみなさんを応援しています!」という言葉がリボンに飾られている。その下には「家庭の事情で将来の夢を諦めないで」「未来にはたくさんの可能性」「将来に向けての準備をゆっくり『ココから!』」という文言が並ぶ。
私は思わず、涙しながら疑問を抱いてしまう。堺市のケースワーカーたちは、なぜ希望を捨てず、立ち去らずにいられるのだろうか。そこで堺市役所を直接訪れ、現役ケースワーカー・元ケースワーカーの皆さんから、直接お話を聞かせていただいた。
現在の堺市の生活保護には、若手ケースワーカーの勉強会「Switch」(生活困窮者の支援の在り方研究会)という重要な存在がある。発足当初は、日常業務の中で感じるモヤモヤ感を持ち寄り、率直に語り合う場、ケースワーカーの「しゃべり場」だった。