甚大な被害をもたらした東日本大震災から間もなく10年が経過する。5年前にも熊本地震が起こり、今後も大規模な地震が起こると想定されている。いざという時、飼い主とペットが安全に避難し、一緒に暮らせるようにするためには、日頃からの「心構え」と「備え」が大切だ。しかし、知識だけでは命は守れない。実際に行動することが必要だ。ペットの飼い主は大地震に備え、何をするべきなのだろうか。(ペットジャーナリスト 阪根美果)
災害が起きたら
迷わずペットと一緒に避難
2013年に環境省は、大規模災害時には飼い主の責任でペットと同行避難することを基本とするガイドラインを策定した。東日本大震災では、ペットと一緒に避難することが周知されておらず、ペットを家に置いたまま避難する人が多かった。その結果、飼い主と離れ離れになり、多くのペットが放浪することになった。10年たった今でも、飼い主の元に戻れないペットがいる。
一度はぐれてしまったら、再会は困難だと思っておいたほうがよい。飼い主とペットが安全に避難するためには、まず飼い主自身の安全を確保することが大前提となる。その上で、避難指示が出たら「迷わずペットと一緒に避難する」ことが大切なのだ。
しかしながら、過去の災害ではペットと同行避難したものの、「避難所に入れなかった」という声も多い。現実的には、人命救助が優先されるし、ペットの受け入れ態勢は自治体ごとにバラツキがある。避難所には動物が苦手な人や動物アレルギーの人、臭いや鳴き声を気にする人もいる。そのため、ペットの飼育場所を別に設ける避難所もあれば、一切受け付けない避難所もある。やっとの思いで避難所に到着しても、門前払いをされることがあるのだ。