レアアース(希土類)をめぐるパニックが今にも再発しそうな気配だ。中国政府が世界経済を押さえ付けるために、この極めて重要な鉱物資源の生産面での独占的地位を利用する可能性があるとの新たな懸念が浮上している。しかし例のごとく、現実はより複雑であり、中国政府にとってそれほど好都合なものではない。元素周期表の後ろの方にある金属であるレアアースは、多くの新技術にとって不可欠な存在だ。スマートフォン、風力発電用タービン、電気自動車、原子力潜水艦などにとってレアアースが無くてはならない存在である理由は、レアアースが磁性を持つことだ。中国は、世界の加工済みレアアースの80%前後を生産している。中国共産党は、レアアース市場の支配が同国に、経済面での有利な立場を与えているかのように公然と振る舞っている。中国からのレアアース供給の遮断が、西側諸国のF-35戦闘機配備計画にどの程度の打撃を与え得るのか、中国当局者らが調査していることが、最近のある報告で示唆された。2010年には中国は、日本との領土問題での対立を受けて、レアアースの対日輸出を禁止するとの脅しをかけた。
【社説】中国のレアアースに関するレアな現実
環境保護の動きと市場機能が中国の独占に終止符を打つ可能性
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