ロナルド・レーガン元大統領の任期以降、米政権が発足直後に、ジョー・バイデン大統領が今回着手したほどの大胆な「賭け」に出たことはなかった。レーガン氏の場合、大規模な減税と大幅な国防費増額を、就任初年度の1981年に同時に導入するという大ばくちを打った。いずれの措置も経済的・政治的な常識を覆すもので、単なる政策変更にとどまらず、国の進路をも変える取り組みだった。ジャーナリストのローレンス・バレット氏は当時の状況を著書にまとめ、「Gambling With History(歴史を賭けたギャンブル)」というタイトルを付けた。それと似たことが目下進行している。このほど成立した1兆9000億ドル(約207兆円)の新型コロナウイルス救済・経済対策法案とそれに伴って同氏が構想する具体的な施策だ。バイデン氏とカマラ・ハリス副大統領が今週、国民に効果を訴えることになっている包括的経済対策は、コロナ危機対応だけでなく、全国の社会的セーフティーネット再構築や、その過程で子どもを貧困から救う新制度を作ることを盛り込んでいる。