多くの企業が掲げる地球温暖化ガス排出量「ネットゼロ(実質ゼロ)」の削減目標は、炭素の回収技術に大きく依存している。中には現実味の薄い技術もある。これまで1400社近くが向こう数十年で炭素排出量の実質ゼロを実現すると表明している。こうした計画の多くが、大気中から炭素を取り除く「カーボンオフセット」を中核に据える。ほぼ毎日のように目標発表が続くが、直近では16日に、フランス石油大手トタルがコンゴ共和国で4万ヘクタールの森林を整備し、向こう20年で1000万トンの二酸化炭素(CO2)を回収すると表明した。植樹は人気の高い手法だ。森林は大気中からCO2を吸収し、効果の認証手法も確立されている。だが、難点もある。森林が伐採されるか火災で焼失すれば、ガスが発生する。土地資源も限られているため、多くの目標は非現実的だ。環境保護団体グリーンピースの分析によると、イタリア石油・ガス大手ENIとブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAGの2社が掲げる森林再生の目標だけで、2050年までに世界で植樹可能な新規の土地の約12%を占めると推定されている。
「炭素中立」狙う企業、成否のカギは回収技術
多くの企業は炭素の回収技術に依存するが、現実味の薄い技術も
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