電気自動車(EV)関連であれば何であれ歓迎される米株式市場の熱狂が、大西洋を渡る兆しをみせている。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の優先株(大半の同社投資家は優先株を売買している)は今週に入り16%上昇し、6年ぶり高値をつけた。自動車販売台数で世界最大手の座をトヨタと競い合うVWは15日、米EVメーカーのテスラと同様のバッテリー戦略を明らかにした。ヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)はその翌日、バッテリーやソフトウエア、製造、サービスを傘下ブランド間で標準化することでVWの規模を生かすと言明した。VWのほかに、同社は高級車のアウディやポルシェなどのブランドも擁する。米中のEV専門メーカーや、米ゼネラル・モーターズ(GM)など新技術に賭ける既存の米自動車大手に注目が注がれてきたが、VWにもようやく脚光が当たり始めたようだ。株価動向を裏付けるデータは乏しく、野心ばかりがけん引力となってきた。これは将来の利益を合理的に算定する効率的市場仮説の世界ではない。むしろ、将来が予測不能になっている業界の、期待感と派手な売り込みが織りなす世界だ。
EV投資熱、欧州にも広がる兆し
フォルクスワーゲンやBMWのEV事業推進にもろ手を挙げる投資家
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