ジョー・バイデン米大統領は、新型コロナ追加経済対策を盛り込んだ1兆9000億ドル(約207兆円)規模の経済救済法について、リンドン・B・ジョンソン氏が大統領だった時代以降で初めて、トリクルダウン効果を狙った富裕層の減税よりも労働者階級の恩恵を重視した大規模な連邦法になったと主張した。同法が成立した後、バイデン氏は「これはパラダイムを変えるものだ。この法案は、長い期間を経て初めて、米国の労働者の優先順位を1番目に据えた。これは大げさではなく、真実だ」と語った。実際には、これは大げさだ。「米国救済計画(アメリカン・レスキュー・プラン)法」は大きなものだが、パラダイムシフトかと言われるとそれは違う。その第一の理由は、同計画のコストの3分の2が、現金給付、公衆衛生関連支出、失業給付、州・地方政府の支援など、1回限りの緊急措置に振り向けられていることだ。このうち最後に挙げた州・地方政府支援以外はすべて、ドナルド・トランプ前大統領が署名した救済法案にもあった内容だ。確かにバイデン氏は、子育て世帯向けの税額控除を子ども1人当たり3600ドルも拡大することや、子どものいない成人向けの勤労所得税額控除(EITC)の拡大など、一部措置の恒久化を望んでいる。しかし、こうした措置は計画全体のコストのわずか6%を占めるにすぎない。
バイデン大統領の追加救済法、旧来政策の焼き直し
1.9兆ドルのコロナ経済対策は過去数十年のセーフティーネット拡大の延長線上にある
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