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1997年にデビューし、四半世紀にわたり「ミニ新幹線」を支えてきた「E3系」が、ついに年内で引退を迎える。秋田新幹線から始まり、山形新幹線に引き継がれたこの車両は、小さな車体に最新技術を詰め込んだ名車として親しまれてきた。JR東日本は「つばさ、つなぐ。」プロジェクトを展開し、最後の走りを多彩なイベントで盛り上げている。時代を駆け抜けたE3系、その足跡をたどる。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
年内に引退する
山形新幹線の「E3系」車両
山形新幹線の「E3系」車両が年内に引退する。JR東日本は5月から「つばさ、つなぐ。」プロジェクトを開始し、ラストランに向けてイベント列車の運行やオリジナルグッズの販売で盛り上げている。
「E3系」は1997年3月、秋田新幹線の開業にあわせて「こまち」としてデビューした。山形新幹線は1999年12月の新庄延伸開業に伴う増備車両として登場。2008年から「400系」を置き換えるため「E3系2000番台」が追加投入され、2010年に完了した。これにより秋田新幹線と山形新幹線はいずれも全編成が「E3系」に統一された。
ただ、同年に東北新幹線が新青森延伸開業して「はやぶさ」「こまち」が最高速度時速320キロにスピードアップすると、秋田新幹線の「E3系」は2013~2014年にかけて新型車両「E6系」に置き換えられた。山形新幹線はその後も10年間、「E3系」王国が続いたが、こちらも時速300キロ運転を実施するため新型車両「E8系」の導入が始まり、いよいよ終焉を迎えた。
開発の難易度が高い
「ミニ新幹線」車両
秋田新幹線と山形新幹線は厳密には新幹線ではない。東京~福島・盛岡間は東北新幹線であり、福島・盛岡から先は在来線特急列車になる「新在直通運転」である。「ミニ新幹線」とも呼ばれるが、これでは分かりにくいので営業上、運転区間を「新幹線」と呼んでいる。







