ショーンに無性に会いたい。新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前、彼の仕事場は廊下の先にあった。筆者と同じく自宅よりオフィスで働くのが好きで、筆者と同じくポストパンクの音楽を聴き、政治を巡って気の利いたことを言い、午後にはエスプレッソを入れた。10分以上会話が続くことはめったになかったが、ショーンは12年間のほぼ毎日、私の働く日常における社会的構造の一部となっていた。この1年間、われわれはテキストメッセージを数回、メールを数回交換した。だが以前ほどつながりは深くない。企業はオフィスを再開し、恐らく従業員に戻るかどうかの選択肢を与えるだろう。企業も従業員も考慮すべきは、物理的空間を共有しなければ、われわれのほとんど気づかない(またそれを表現する言葉も見つからない)人間関係を失うということだ。顔を知らない間柄ではなく友人でもないこうした知り合いと、われわれはおしゃべりしたり、出勤時に顔を合わせたりする。それを表面的関係と片付けるのは簡単だ。だがこうした職場の知り合いと築いた関係は、多くの人が考えるよりはるかに人間の絆やコミュニティーの意識にとって重要なものだ。