過去1年間にソリティア(一人でできるカードゲーム)をたとえ1回でもやったことがあるのなら、その時間を無駄にしたことになる。これは本当だ。私は何度もこのゲームをやったが、何の成果もなかった。もちろん、私にはやらなければならないズームの授業も、子どもの世話も、リモートの仕事もなかった。仕事はしていたが、新型コロナウイルス対策が厳格に守られたスタジオで、パンデミックの間ずっと共同作業をしてきた大勢のスタッフと一緒だった。ロックダウン(都市封鎖)や隔離、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)といった措置が実施されている状況の中で、ソリティアは無害な活動のように思われた。所在なさを埋めてくれる手慰みであり、何かすることがあるという安心感を得るものだった。テーブルの上にはカードの山があり、私の手は無意識に52枚のカードを取り、両手でパラパラとリフルシャッフルし、カットした。自分でカードを配り、自分でプレイするゲームだ。カードを横に1枚、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚と7列に並べ、一番手前のカード以外は裏向きに伏せておく。手持ちのカードを3枚ずつめくっていき、赤の上には黒というように交互にカードを置いていく。そうしているうちに1時間ほどが過ぎる。その日のうちに、あるいは翌朝にまた、ソリティアをやっていた。
トム・ハンクス、コロナ下のソリティア「時間の浪費」
パンデミックは生命と健康が不確かなものだということを私たちに教えてくれたが、ソリティアはこの貴重な時間を無駄にしてしまう
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