
コロナ禍を経て明暗が分かれた航空業界。国際線好調で業績が回復したANAやJALは高水準の賃上げを実施する一方、国内線依存の航空会社では収益性が低下し、平均年間給与の増減率にも差が生じている。特集『25年 給料ランキング』の#22では、航空会社5社の有価証券報告書を基に平均給与を比較。職種別の傾向も踏まえ、コロナ後の航空業界における「待遇格差」の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
JAL・ANAが1万円超のベア実施!
航空5社の給料ランキング
旺盛なインバウンド需要に支えられている国際線事業の業績がけん引する形で、ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は今年度も好調が続いている。
ANAHDの2026年3月期第1四半期の売上高は5487億円(前年同期比319億円増)、営業利益は367億円(前年同期比64億円増)と増収増益となった。JALもANAHD同様に業績は堅調に推移しており、26年3月期第1四半期の売上高は4710億円(前年同期比470億円増)、EBIT(財務・法人所得税前利益)は455億円(前年同期比233億円増)となった。
業績が上向く両社では社員への還元も進んでいる。25年の春季労使交渉(春闘)では、ANAHDが48年ぶりの高水準となる1.2万円、JALも過去最高だった24年に次ぐ1万円のベースアップを実施。
一方で、国内線が主力事業である航空会社ではコロナ禍以降も厳しい状態が続く。業界第3位のスカイマークは、25年3月期の事業収益が過去最高となる1088億円を記録したものの、営業利益率は1.7%とコロナ前の19年3月期の8.1%から大きく下落している。
各社の国内線事業は、高単価だったビジネス目的の旅客数が減少したことで、需要構成が大きく変化。さらに物価高や円安による燃料費、整備費の増加が拍車を掛け、収益性が著しく低下しているのだ。
コロナ前とは異なる事業環境になって、変化に対応できる企業とそうでない企業で明暗が分かれてきており、それは各社の平均年間給与の増減率にも影を落とす結果となった。
では航空各社の実際の給与はどの程度の水準なのか。有価証券報告書を公開している5社の平均年間給与を集計し、ランキング化した。
また、地上職の他に客室乗務員や運行乗務員(パイロット)などの従業員がいる航空会社では、職種によって給与が大きく異なる。そのため職種別に平均年間給与を記載している会社については、客室乗務員とパイロットの過去7年間の給与の推移を掲載している。
ランキング結果をひもとくと、パイロットの平均年間給与が2000万円に到達する企業も存在した。一体それはどこの会社なのか。気になる結果は次ページで公開する。