トム・ラムジーさん(55)が久しぶりに味を感じたのは病院の食事を取っているときだった。ニューオーリンズの高級レストラン、アチャファラヤのエグゼクティブシェフで、ソムリエの資格を持つラムジーさんは1月末に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患(りかん)し、一時的に味覚と嗅覚を失っていた。  食べたのはポークシチューのライス添え。「まだ匂いは全く感じなかった」が、「それでも料理はおいしく、最高だった」とラムジーさんは言う。「味を感じることのありがたみがあらためて分かった」  退院後、味覚が再び弱くなったが、ラムジーさんはまだ諦めたくなかった。