電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、未来の企業であろうとしているが、われわれと同じように現代の問題を抱えている。つまり、米内国歳入庁(IRS)に対処しなければならないということだ。テスラにとって、EV業界でほぼ唯一の存在だった頃は、税制は大きな追い風だった。同社の裕福な顧客は7500ドル(約82万2000円)の連邦税控除が受けられ、多くの州がこれに上乗せして優遇措置を実施した。だが、テスラはすでに基準を超えるEVを販売しており、同社の顧客はもはや連邦政府の補助金の対象にはならない。自動車メーカー各社による大衆向けEV市場への参入が相次ぐ中で、この問題は以前よりも重要性を増している。買い手が暗号資産(仮想通貨)ビットコインで支払うことを選べば、さらに頭の痛い問題が待っている。IRSはこれを最近値上がりした資産の売却だととらえるためだ。例えば、カリフォルニア州の顧客がテスラのエントリーレベルのセダン車「モデル3」(3万3690ドル)を3カ月前に購入したビットコインで支払うとする。自動車調査会社ヘッジス・アンド・カンパニーによると、平均的なモデル3購入者は限界税率(MTR)で、連邦政府に対して4056ドル、カリフォルニア州に対しては短期キャピタルゲインとして1572ドルの税金を納める必要がある。今年から、仮想通貨の保有は連邦政府への納税申告で報告する義務があり、怠れば偽証罪に問われる。
テスラVS税務当局、意外な罠とは?
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