2021年の中国と西側諸国の関係は波乱の幕開けとなった。アラスカでの米中の非難合戦、その数日後の欧州と中国の制裁合戦を目にした人々が、みぞおちの辺りに悪寒を感じたとしても無理はない。ナショナリズムのために経済的リスクを冒すことへの中国政府の許容度が、今ほど高まったことはほとんどない。こうした状況は、多くの国々にとって不穏な兆候となる。台湾や南シナ海に面する国々にとっては、特にそうだ。米中の貿易面での対立は、より広範な地政学上の対立につながっている。中国の裏庭とも言える地域での同国の軍事力は、米国と張り合える水準に近づいている。台湾の防空識別圏への中国機の侵入は、2020年代終盤以降しばしば日常的な出来事になっている。米国は日本などの同盟諸国に対し、有事への備えをしきりに促している。
中国ナショナリズムが供給網脅かす時代
東アジアで米中の重大な衝突が起きる可能性を非現実的なテールリスクとして無視することはできない
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