日本国内の死因
自宅での「老衰」が増加

 次に日本国内における死亡原因を見ていこう。外出抑制によってか異変が起きた。厚労省が発表している最新の死因別統計は昨年1~10月まで(図1)。目を引くのは、肺炎の死者が1万3950人も減少していることだが、インフルエンザの死者減とも通底しているようだ。

 死因第2位の心疾患と第4位の脳血管疾患も前年比減になった。前年より増えたのは第1位のがんと3位の老衰である。死者全体の30%近くと断然トップのがんは相変わらず増勢。注目すべきは、老衰が前年より7964人も増えていることである。

 がんは10月までに前年よりわずか1714人しか増えていないが、老衰死はがん死の4.6倍も増えている。10月までの全死亡者112万386人の9.5%に達し、2019年の8.8%から大きく伸びている。全死者の1割近い。

 死因順位の第2位、心疾患の10月までの死者は16万5708人で、全死者の14.8%である。前年の15.0%から0.2ポイント下がった。老衰死のこの増加の勢いが続くと、3~4年後には心疾患を追い抜き、死因第2位になるだろう。

 老衰死の場所にも変化が出ている。コロナ禍で自宅での老衰が増えてきているようだ。「病院は感染の危険が高く、怖いから行かない」「入院すると面会ができなくなる」「早く退院させたい」との思いが広がって、病院への足が遠のいている。

 訪問診療を手掛ける診療所から「昨年5月以来、訪問先が増えた」という声がよく聞かれる。自宅への訪問診療が大半の「やまと診療所」(東京都板橋区)では「この1年ほどで看取り件数が急増し、500件ほどになった」と話す。500件は日本の診療所では間違いなくトップクラスの看取り数となる。

 昨年の死亡場所別の確定数は、9月の人口動態統計の発表を待たねばならないが、自宅死がどのくらい増えているか注視したい。