米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が宣伝している低コストのバッテリーは、中国のEVビジネスに破壊をもたらしている。同国のEV市場で半分近いシェアを獲得し、より手頃なEVの台頭を後押ししている。その「リン酸鉄リチウム(LFP)」と呼ばれる電池は、発火の危険性が低く、希少なコバルトやニッケルの代わりに鉄を使用するため、製造コストも低い。しかし、一般的に航続距離が短く、寒さに弱い傾向があるため、欧米ではあまり使用されていない。中国政府が支援する国聯汽車動力電池研究院によると、LFP電池メーカーが同国で昨年、EVやハイブリッド車(HV)などに供給したエネルギー容量は30.8ギガワット時と市場の47%を占めた。この割合は前年の25%強から増加し、この電池を使用した低価格の大衆向けEVの登場を反映した格好となった。