アルケゴス・キャピタル・マネジメントの巨額損失問題では、「ファミリーオフィス」と呼ばれる一般にほとんど知られていなかった組織がひそかに影響力を増している実態が明らかになった。ファミリーオフィスとは、資産家一族の資産運用を目的に設立された組織で、ここにきて金融システムにおける重要性が高まっている。UBS証券が昨年公表した報告書によると、規模の大きい「シングル・ファミリー・オフィス(単一家族のみにサービス提供)」上位121社だけで、純資産は推定1424億ドル(約15兆7500億円)に上る。このうち69%が2000年以降に設立されたという。ファミリーオフィスの一部は規模拡大に伴い、リスクの高い投資に手を染めるようになった。株・債券といった伝統的なファミリーオフィスの投資手法からは決別し、一獲千金を狙うヘッジファンドが数十年前に採用していたような手法へと傾斜を強めている。