2017年に減税・雇用法(TCJA)が米議会を通過した結果起きたことは、政府の法人税収入の激減だった。過去3年間の法人税徴収額は、国内総生産(GDP)の1%という第2次世界大戦以降最低の水準に落ち込んだ。米国の大企業の多くは、2020年に連邦税を全く払わなかった。TCJAの支持者らは、この減税が米国に何らかの見返りをもたらすと説明した。彼らは、税率引き下げが米国内に生産と投資を呼び寄せると主張した。しかし、それは実現しなかった。その理由は明白だ。他の諸国が米国の行動を見て対応したのだ。米国の税率引き下げを目にした他の諸国は、米国以下の水準に税率を引き下げた。結局それは、どの国にとっても競争力の強化につながらなかった。その結果生じたことは、最も低い税率を目指す国際競争だった。どの国が法人税率を、より大幅により迅速に引き下げられるかという競争だ。
【寄稿】米国にとって好ましい法人税の在り方=イエレン氏
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