米政府は13日、ジョー・バイデン大統領が9月11日までに米軍をアフガニスタンから撤退させることを計画していると発表した。この象徴的だが恣意(しい)的な日付は、今回の決定が現地の実情ではなく、政治的意図に基づいていることを示している。それは戦略的に危険な賭けでもある。こうした行動によって米国の利益が損なわれることは、歴史が示している。2001年9月11日の米同時多発テロ事件から20年の節目となる日が撤退の目標期限とされたことは、アフガン戦争がようやく終わることを印象付けるものだ。しかし、もちろん戦争は終わらない。同国では、反政府武装勢力のタリバンが首都カブールの奪回とアフガニスタン・イスラム首長国の再樹立を目指す中で、内戦が激化するだろう。同国が再び過激派組織アルカイダと「イスラム国(IS)」の聖域となれば、米国が再び軍隊を送り込まざるを得ない事態になっても驚くに値しない。2011年にバラク・オバマ大統領(当時)がイラクから米軍を撤退させたことがISの台頭を招き、米軍が再展開を強いられたのと同じことになりかねない。
【社説】バイデン氏のアフガン撤退は正しいか
駐留米軍の9・11完全撤収計画、アルカイダとISは勢力拡大の恐れ
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