日時も議題も未定の首脳会談を
発表する文政権の焦り

 先述の通り、青瓦台のカン・ミンソク報道官は日米首脳会談が行われる前日、書面ブリーフィングで「文大統領はバイデン大統領の招待で5月後半にワシントンを訪問、韓米首脳会談を行う予定」であると発表した。文大統領の米国訪問の具体的な日程は調整中だという。会談の議題については「現時点では一切協議が行われていない」という。

 具体的日時も議題も決まっていない時点で、しかも開催の1カ月も前に発表するのは、日米首脳会談が先行することへの文政権の焦りを示すものである。

 革新系の新聞・ハンギョレ電子版は16日、これは米国が「日本と対立する韓国が過度に阻害されないよう配慮したもの」であり、実際には「(日米首脳会談より)1カ月以上遅れ、米国の対北政策に韓国の意思を十分に反映させるには不利な状況に置かれた」と懸念を表明している。

 文政権は、米中の板挟みとなる恐れがある中で、早期の米韓首脳会談実施を働きかけてきた。文大統領は2月4日、バイデン大統領との初の電話会談で「なるべく早いうちに包括的な対北朝鮮戦略を一緒に講じる」「なるべく早期に韓米首脳会談を開催する」ことを求めていた。バイデン政権が対北朝鮮政策を見直す中で、南北融和を掲げる文大統領の考えを反映させたい意向があるからである。

 しかし、米韓首脳会談は米中関係で「あいまい戦略」と取る文政権にとっては厳しいものとなることが予想される。そのため、韓国政府は会談の議題案に神経をとがらせている。

 カン報道官は「今回の首脳会談で両国首脳は堅固な韓米同盟の持続的な発展と、朝鮮半島の完全な非核化および恒久的な平和定着の進展のための緊密な協調案などについて深く議論するものと期待される」と述べた。

 しかし、先般行われた米韓2+2の共同声明には「北朝鮮の完全な非核化」と「中国」については入っておらず、この2つの問題を巡る米韓の立場の開きが鮮明となっている。

 さらに中国包囲網の構築に関しては、韓国は日米豪印の「クアッド」への参加に消極的であり、分野別の非公式な参加も表明しておらず、米国の政府や民間から「本当に味方なのか」と疑われている状況である。

 なお、日米首脳会談では共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記された。「両岸問題の平和的解決を促す」という文言は、日本側の要請で付け加えたものであり、米国は「日本には共同声明でもっと強い表現に賛同してほしかった」と「落胆している」という。

 韓国は米韓首脳会談で米国の強い圧力にさらされることが懸念される。