商社にとって“最後の市場”と言われるアフリカで、豊田通商が勢力を伸ばしている。
8月には、約1000億円かけてアフリカに強いフランス系商社最大手、CFAOの株式を29.8%取得し、今月初旬にも追加で株式公開買い付けを開始するなど、他商社がまだ食い込めていないアフリカで、 “儲けのタネ”の開拓に乗り出している。
豊田通商といえば、世界各地で主にトヨタなど日系自動車メーカーの販売代理店を中心に展開する商社。各メーカーの新車を販売したり、メンテナンスなどのアフターケアを行ったりすることに強みを持ち、アフリカにおいては、東アフリカ・南アフリカを中心に24ヵ国で代理店を展開している。
そんな豊田通商が、最近アフリカで力を入れているのが、「中古車」だ。昨年10月には、アフリカ東部のケニアに、初めて「中古車専業店」の豊通オートマートケニアをオープンした。
豊田通商の服部孝常務取締役は「アフリカの多くの国では、新車は一般の人々にとって簡単に手の届く商品ではない」と、その理由を説明する。
現にケニアでは、2010年の自動車の登録台数のうち、じつに8割が中古車だった。そこで、まずは中古車で日系メーカーに親しんでもらい、いずれ新車を購入できるくらいに所得が上がった際には、同じメーカーの新車を買ってもらおうという戦略なのだ。
じつはあまり知られていないが、ケニアは日本と同じ左側通行国。右ハンドルの日本車が親しまれる土壌があり、人気も高い。たとえば、トヨタ車のケニアでのシェアは25%もあり、過去10年1位を保っている。