中国政府は電子商取引大手アリババグループ傘下のフィンテック企業アント・グループの上場計画に絡み、馬雲(ジャック・マー)氏が昨年、いかに当局からスピード承認を得たのか調査している。中央政府の「馬氏たたき」に周辺の当局者も巻き込まれつつあることを示唆している。内情に詳しい関係筋が明らかにした。今年に入って開始された中央政府の調査では、新規株式公開(IPO)計画を承認した当局や計画を支持していた地方当局者、上場で利益を得るはずだった大手国有企業に焦点が当てられている。馬氏と同氏寄りの当局者との関係も調べられているという。今回の調査により、アントや支配株主である馬氏の将来に引き続き不透明感がくすぶることになる。馬氏はアントのIPOが直前で中止に追い込まれた昨年11月以降、公の場からほぼ姿を消している。関係筋によると、同氏はアントが規制当局の指示通り事業モデルの変革を完了させるとともに、政府の調査が終了するまで、出国を禁じられている。