大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。ハーバードを首席で卒業後、幼い頃から続けているバイオリンを武器にニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業した。現在はバイオリニストとして活動しながら、テレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとしても活躍している。
日本から突如、世界のトップ校に飛び込み、並み居る秀才たちのなか、途方に暮れるような大量の難題を前に、どう考え、どう取り組み、どう解決していったのか? 著者が学び、実践してきたハーバード流の「考える力」について、自身の経験をベースに、どうすれば個人や組織が実践できるかを、事例やエピソードとともにわかりやすく紹介する。(こちらは2020年2月2日付け記事を再掲載したものです)
2つの準備と
4つのステップで
問題解決力を
高めよう
私が問題解決を迫られたときには、「2つの準備」と「4つのステップ」を踏むようにしています。
準備1
直面している課題についてできるだけ多くの情報を集める
(問題解決には背景にある些細な情報が不可欠です)
準備2
いつまでに解決すべきかという締め切りを設定する
(何をやるにも締め切りを決めて緊張感を保ちます)
準備1では、できるだけ多くの情報を集めます。課題の本質がクリアになりますし、表面上では見えていなかったハードルが浮き上がることもあります。
そして準備2で締め切りを設定すると、シンプルに「締め切りまでに絶対仕上げよう!」という緊張感とともにモチベーションが高まります。
当たり前のようですが、これが成功への大きな鍵です。
不朽の名作ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』が大ヒットした理由の1つは、マリオがジャンプに失敗すると落下して、画面外へ消えてゲームオーバーになる仕かけにあったとされています。
マリオを落としてはならないという適度なプレッシャーが、画面から目が離せないほどの集中力を生み、プレイヤーを知らないうちに夢中にさせてしまう仕組みです。
プレッシャーは高すぎると焦りを生んでしまうのでよくありませんが、少なすぎると人を怠惰にしてしまいます。もちろんバランスは大事ですが、集中力を高めたい場合はとりあえず高めに設定しておくことをおすすめします。
続いて、問題解決の4つのステップです。
ステップ1
ゴールを決める
ステップ2
中間目標を決める
ステップ3
中間目標をクリアするためのタスクを書き出す
ステップ4
今日できるタスクを「TODOリスト」に落とし込む
ステップ1では、達成したいゴールを決めます。
いまある問題をどう解決したいのか、何を達成したいのか、断定形で書き出します。
(例:4月までに資格をとりたい → 4月までに資格をとる)
さらに、ぼんやりとしたゴールではなく、明確に数値を決めます。
(例:顧客を増やす → 顧客を3ヵ月で20%増加させる)
ステップ2では、ゴールにたどり着く途中にクリアすべき中間目標を定めます。
課題は大きければ大きいほど達成が遠く感じて、モチベーションが高まらないこともしばしばあります。だから、少し低い目標を小刻みに設定して自分に「これならできる」と錯覚させるのです。
ここでも、可能であれば確実に自己評価できる目標が理想です。
(例:資格の試験で90点とる、顧客を100人増やす)
ステップ3では、設定した中間目標ごとにクリアするためのタスクを洗い出します。
ここでは数値等にこだわらず、できることを当たって砕けろの精神でリストアップ。
(例:専門用語を500語暗記する、予算30万円をあてて強力なWeb広告を出す)
それらを同時並行でこなしながら、中間目標に近づいていきます。
考え出したタスクの中に、締め切りまでに実行するのが難しいものがあれば、躊躇なく取り除いて現実的な代替策を探します。
ステップ4では、タスクを「今日のTODOリスト」まで落とし込みます。
後で詳しくお話ししますが、私は子どもの頃からタスクを整理するためにTODOリストを使ってきました。
全体のスケジュールから逆算して、3ヵ月後、1ヵ月後、再来週、来週……と未来から現在へとやるべきことを落とし込み、「今日何をすべきか」をその日1日のTODOリストに書き出します。
(例:専門用語を30語暗記する、広告のデザイン案を仕上げる)
後はTODOリストの通りに、いまできることを淡々とこなすだけです。
「今日何をするか?」まで
やるべきことを落とし込んでいますか?