――筆者のオラシオ・グティエレス氏はスウェーデンの音楽配信サービス大手スポティファイ・テクノロジーの最高法務責任者(CLO)
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アップルについて称賛すべきところは多い。だがわが社スポティファイは、野蛮なもう一つの側面を目の当たりにしてきた。アップルは世界で最も魅力的なハードウエア製品の一部をデザインし、開発し、販売している。そして多くの人にとって、スティーブ・ジョブズ氏は今でもあがめられる存在であり、同氏は自身が生み出したビジネスに消えることのない輝きを与えている。わが社は、アップルがそうした外見とは裏腹に無慈悲な抑圧者だと主張する数社に属する。アップルはその支配的立場を利用して競合他社を妨害している。だがこの数年、世界中の規制当局がアップルの行いについてようやく調査に乗り出した。当局の多くは、目にしていることを快く思っていない。
欧州連合(EU)の欧州委員会は先月、アップルの行いを巡りスポティファイが2年前に行った提訴について異議告知書を発出した。この文書は、独占禁止法違反に関する調査で重要な正式の段階となる。欧州委はアップルが運営するアプリストアのポリシーの、2つの側面を問題視している。第一に、アップルがアプリ開発企業に自社決済システムの利用と新規サブスクリプション(定額制)料金の30%の支払いを強制していることだ。