「ビットコイン」など仮想通貨の価格がジェットコースターのように乱高下している。そうした動きとは別に、主要先進国の中央銀行などは、価値が一定の「デジタル通貨」の開発に取り組んでいる。デジタル通貨の実用化によって、ビットコインは投機の手段としての立ち位置がより鮮明になるだろう。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
ビットコイン以外の仮想通貨も急騰
「ドージコイン」の価格は100倍以上に
「ビットコイン」など仮想通貨の価格がジェットコースターのように乱高下している。不安定な価格変動によって多額の損失を抱える投資家も出ている。損失覚悟の売りも出ている模様で、そうした不安定な動きは株式などの金融市場にも影響を与えている。
元々、仮想通貨は個人や民間の組織などが生み出し、インターネット上で取引される財産的価値を持つ商品だ。暗号通貨や暗号資産とも呼ばれる。最近の仮想通貨の相場乱高下の背景にはいくつかの要因がある。年初来、低金利環境の継続期待を背景に、仮想通貨市場に投資や投機の資金が流入し、価格が上昇した。さらに、米テスラのビットコイン購入などが相場を過熱させた。ビットコイン以外の仮想通貨の価格も急騰し、年初から5月上旬までの間、「ドージコイン」の価格は100倍以上も上昇した。
その後、マスク氏がビットコインでの支払い停止の方針を示したことや、中国での規制強化などが仮想通貨の価格を急落させ、多くの投資家やテスラなどの企業が損失に直面しているとみられる。基本的に、仮想通貨には価値の裏付けがなく、価格が不安定なため投機の手段になりやすい。そうした仮想通貨の特性が露呈しているともいえる。
そうした動きとは別に、主要先進国の中央銀行などは、価値が一定の「デジタル通貨」の開発に取り組んでいる。デジタル通貨の実用化によって、ビットコインは投機の手段としての立ち位置がより鮮明になるだろう。