新型コロナウイルスのワクチンメーカーは2020年初めから株価が急騰した。米バイオテクノロジー会社モデルナは約850%高、ドイツのビオンテックは510%高に達し、ノババックスに至っては3620%近く高騰している。
いずれも規制当局の認可を得たか、認可を得る見込みのあるコロナワクチンを開発してきた。ワクチンメーカーの一部は膨大な収益を上げている。株価にはさらなる収益拡大が織り込まれているが、それはパンデミック(世界的大流行)の次の段階や、各社のワクチン技術が他の病気の治療に使えるか否かに左右される。
一例として、ジェフリーズ・グループのアナリスト、マイケル・イー氏はモデルナについて、コロナワクチンの売上高が今年200億ドル(約2兆1900億円)、来年には100億~300億ドルになるとの予想を示している。モデルナは5月、新たな試験の結果、自社のコロナワクチンが12~17歳の子どもに有効であることが示されたと述べた。モデルナ製ワクチンは米ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンに次いで、青少年への接種で2番手のワクチンとなる。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やファイザー、英アストラゼネカなど、ワクチンを開発した製薬大手では、小規模企業のような株価急騰はみられない。ワクチンの成功さえ、こうした大手の巨額の収益を押し上げることはほとんどない。一部大手はパンデミックの間、利益を抑制すると約束しているほか、アストラゼネカとJ&Jは生産で苦戦している。それでも、長期的に自社ワクチンへの需要が増えれば、各社に恩恵となる。