――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
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中南米諸国はこれまで、市場重視の経済開発モデルを導入する開発途上国の先頭に立ってきた。だが現在はそれに逆行する動きを示しているかもしれない。ペルーの有権者は、6日の大統領選挙決選投票で、急進左派政党リーダーのペドロ・カスティジョ氏を大統領に選ぶかもしれない。カスティジョ氏のマルクス主義政党は、外国資本鉱山の国有化を求めており、自由な報道機関など民主的組織に疑念を示している。こうした政策はレーニンやフィデル・カストロを思い起こさせる。
メキシコ市民は同じ6日に行われる中間選挙で、左派のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領に、どの程度の議会支配を認めるかを決めることになる。ロペスブラドール氏は2018年の大統領就任以来、石油・ガス・電力分野に対する国の支配を強めるとともに、司法の独立性を弱めてきた。そしてほんの数週間前にはチリの有権者が、憲法を改正するための「制憲議会」選挙で極左の一団を当選させた。左派勢力はアルゼンチンもすでに支配しており、世論調査によれば、来年のブラジル大統領選挙でも左派候補が勝利する可能性がある。