現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
20万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。
「年収」について聞いてみた
――世の中の「年収」に対する価値観について、どう思いますか?
ひろゆき氏:日本だと年収1000万円を目指す幻想がありますよね。新卒で入った会社で年収300万円くらいだとして、そこから1000万円を目指していく……、みたいな。
ただ、年収が決まる要因は「スキル」じゃなく、「環境」が99%です。置かれた場所で頑張るのではなく、年収1000万円を払ってくれる会社に転職活動するよう頑張るしかありません。そのための足がかりとして、今の会社で結果を出すのが先、という考え方ですね。
そして、激務の我慢料として1000万円を稼ぐより、ダラダラと500万円を稼ぎ続けたほうが、本当は幸福度は高いですけどね。
たとえば、ソーシャルゲーム会社に入ったら、若くても年収1000万円を狙えるかもしれませんが、長く続かないですよ。一発当たったゲームが出せた瞬間だけ年収が上がって、業績が下がるとすぐに年収下がりますから。
――ひろゆきさんは「年収1000万円の人」の気持ちってわかりますか?
ひろゆき氏:ここでもよく話しているように、僕はお金に対する考え方は年収で変わりません。根本的に「欲しいものがない」からです。
僕は昔、年収400万円の翌年に4000万円に上がったときがあったんですよ。2ちゃんねるの広告収入が入りはじめたくらいの時期ですね。
だから、その間の600~1200万円くらいの気持ちは味わったことがないんです。たとえば、400万円から年間100万円ずつ上がっていったとしたら、徐々にいい暮らしをしていった可能性はあります。いわゆる「ゆでガエルの論理」と同じですね。少しずつ水温があがるとカエルは気づかずにゆで死んでしまいますが、いきなり熱湯に放り込まれたら逃げられるという。
それと同じで、急に年収が上がったら、案外、ちゃんと正しい判断ができるんです。冷静になると、「高級レストランが出す1万円の食事」と「家で空腹のときに食べる100円の卵かけごはん」で、前者のほうが後者より100倍おいしいなんてことはありませんから。それに気づくことができます。
高所得者から児童手当を外さないほうがいい理由
――年収に絡めて、最近、話題になったのは、「年収1200万円以上の世帯から児童手当を外す」という法案が成立したことですが、どう思いますか?
ひろゆき氏:僕は反対ですね。年収1200万円って「見かけの金持ち」ですから。
――どういうことですか?
ひろゆき氏:年収1200万円ということは、毎月あたりざっくり手取り「75万円」ということです。おそらく都心部に住んでいる人が多いでしょう。
都心部で子どもがいても広く住めるマンションを借りる場合、家賃は25~30万円くらいします。そこから車を買ったり子どもを塾に行かせたり、私立に入れたりする。さらに、知り合いや友人との飲み会やランチも、年収が高い人同士だと高額です。
そうなってくると、実は年収1200万円でも、そこまでお金が貯まらないんです。お金が貯まらないということは、金融資産をつくったり、不動産を買うことができませんよね。
「本当の金持ち」というのは、給与所得が高い人ではなく、資産を持っているかどうかですから。
税金は「資産」から取れ
――なるほど…。他に反対の理由はありますか?
ひろゆき氏:「親が東大生だと子どもも東大に入りやすい」というデータがありますが、僕は年収が高い親の子どもには、教育費をかけて次世代の高所得者になるように育てたほうがいいと思っています。それは庶民全員に言えることでもあります。だから、一律に児童手当は支払うべきですよ。
本当にたくさん税金を取らないといけないのは、先ほど語った「資産を持っている本当の金持ち」です。地方の学生が頑張って勉強して東大に入り、そこから年収1200万円まで上がっても、そこでさらに児童手当を外される壁があるのはおかしいですよ。
――政治家はどんな政策をすべきですか?
ひろゆき氏:昔から不動産を持っている家系で、自動的に稼いでいる地主のような人たちがいますよね。すごい人になると、利子だけで年間12億円が入る人もいます。生きているだけで12億円です。しかも、その12億円に対する税率は約20%です。給与所得はもっと高い税が取られていますよ。だから、これを突っつくべきです。
資産家からどんどん税金を取れる「資産課税」の仕組みを作ったほうがいいですね。まあ、家系がしっかりしている政治家の方々が代々「資産家」ですから、そんな法案は作らないと思いますけどね。
ちなみに、政治家が一生懸命に上げている「消費税」は国民全員から取る税金です。そんなものより、一刻も早く資産家からお金を取る方法を確立してほしいものです。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、20万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。