現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
20万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。
「減点方式」より「加算方式」
――「好きなことを仕事に」というのが時代の流れだと思うんですが、どう思いますか?
ひろゆき氏:僕は反対ですね。好きなことって、今の段階で「自信があること」だと思うんですけど、そのモチベーションで仕事を始めても、ずっとは続かないですよ。
それよりも、自分がまったく経験したことがないことでも、「仕事としてやってみたら案外自分には向いていた」という例のほうが圧倒的に続きやすい。
――なぜですかね?
ひろゆき氏:好きなことをはじめるときは、気持ち的に盛り上がっていると思うんですよ。それは大恋愛で勢いで結婚するようなものです。一方で、やりたくないと思っていたことをやらされるのは、お見合いで結婚するのと似ています。
じつは、恋愛結婚より、お見合い結婚のほうが離婚率は低いんですよ。それは、恋愛結婚の場合、初めから相手に100点満点をつけてしまっていて、そこから生活を共にしていくうちに、だんだん悪いところが見えるからです。
反対に、お見合い結婚の場合は、最初が50点くらいだとすると、生活していくうちに相手の良いところが見えて、徐々に60、70、80点……、と上がっていくんですね。
――「減点方式」か「加算方式」か、ですね。
ひろゆき氏:そうです。その例は仕事にも当てはまります。以前、食べることが大好きな友人が自分の店を持とうとしたことがあったんです。
しかし、自分が食へのこだわりが強すぎるから、食材に関して妥協することができないんです。だから、どんどん高い食材に目が行ってしまう。とてもじゃないけど、店なんて成り立たなくなりました。
仕事も結婚も、どこかで「割り切り」の部分が必要なんですが、「好き」が絡むとどうしても難しくなりますよね。だから、「好きを仕事に」という考えには反対なんです。
「好きなこと」にまとわりつく「つらさ」
――「好きなこと」がある人に対して、どのようなアドバイスをしますか?
ひろゆき氏:まず、趣味で続けたほうが幸せだよ、と教えることですね。それを副業程度に続けて、お金が入ったらラッキー程度に考えておく。
それでも本業にしたいのなら、「あとで絶対につらくなる」ということを覚えておくこと。あと、その仕事を好きと思っていない人をパートナーとか右腕として置いておくことです。
――「参謀」みたいなことですか?
ひろゆき氏:はい。好きなことって、こだわりが強いぶん、周りが見えなくなるリスクがあります。それを振り切って自分のやりたいことを実現してしまうような人も、中にはいます。1%の天才の人たちですよね。
でも、そこまでの自信がないのなら、ある程度、客観性を持たせないとビジネスにはならないんですよ。食材にこだわる人に対して、「あっちの野菜を使えば、そんなに味が変わらずにコストが下げられますよ」と横で制してくれる人が必要になります。そのときに、自分は折れないといけないわけで、決断するときに「つらい」と思ってしまうはずです。
そのつらさを引き受けられるかどうかですね。「いや、自分は好きなようにやりたいんだ!」と思ってしまうようなら、趣味で続けたほうが絶対にみんな幸せですから。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、20万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。