親が認知症になったら、どうなってしまうのだろう?
そんな不安を抱いたことのある人もいるはず。イラストレーターのあさとひわさんが描いたコミックエッセイ『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)は、レビー小体型認知症と診断された父(当時78)を母と一緒に支える実話です。
認知症になったお父さんは、日付がわからなくなったり、同じことを何度も繰り返すようになったり、うまく歩けなくなったりしていきます。都内で一人暮らしをするあさとさんは、埼玉の実家に通ってお父さんを支えます。でも、介護の大変さ以上に読者の印象に残るのは、お父さんの「かわいらしさ」。
たとえば、認知症と診断されて約1カ月後、実家に帰省したあさとさんは、食卓でお父さんと向き合います。「忙しいのによく来てくれたね」と言うお父さん。あさとさんが、「調子よさそうだね」と言うと、お父さんは目の前にあるお饅頭をむんずとつかみ、もぐもぐ食べながらこう言うのです。