本稿の結論から先に申し上げよう。「まん延防止等重点措置(まん防)」にあって課される、飲食店に対する営業時間と酒類提供、客の滞在時間に関する三つの制限(以下「まん防の飲食3制限」を撤廃すべきだ。数々の弊害があって、目に余る。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
「まん防」の内容を再考すべき
飲食3制限は有害かつ不要だ
東京都、大阪府など、七つの都道府県に発出されていた緊急事態宣言が終了して、6月21日からまん防に移行した。まん防では自治体に裁量があって地域によって制限は異なるが、東京都では飲食店の営業時間が午後8時までとされ、緊急事態宣言下では禁止されていた酒類の提供が午後7時まで可能とされる。加えて、1組の入店を原則2人までとし、滞在時間を90分までとするとの制限が付く。
新型コロナウイルス感染症まん延下の飲食店の適切な入店人数は店の構造や業態で異なるだろうから、人数の制限については「2人」が現実的で適切なケースがあるかもしれない。だが、それ以外の三つの制限はおおむね有害かつ不要だと考える。
実は、緊急事態宣言下でもそのように考えていた人が少なくないようだ。
潮目が変わったのは、おそらく3度目の緊急事態宣言が再延長された6月1日からだろう。東京都内では営業を再開して酒類を提供する飲食店が目立って増え(いわゆる闇営業なので残念ながら統計はないが)、多くの顧客の支持を得るようになった。東京都では営業時間短縮に応じた飲食店への協力金の支払いが遅れているので、存亡の機に立っている飲食店が少なくない。生活のためにやむを得ず闇営業してみたら、大はやりだったというケースもあるだろう。