まさか私が痛風に!?
44歳、Mさんの体験談

 ここで、「痛風になるとはまったくの予想外だった」という都内在住Mさんの体験談を紹介する。Mさんは昨年8月上旬、44歳の誕生日を迎えた直後の早朝、右足の親指付け根にズキズキと痛みを感じた。見ると少し赤く腫れていた。過去の経験から、記憶にないが酔ってどこかにぶつけたのかと思ったという。腫れ方はハチや毛虫に刺されたような感じだった。このときはまだ普通に歩けた。

 診療科を調べて整形外科で診てもらうと、Mさんは医師からレントゲン前に「痛風では?」という思わぬ言葉を耳にする。その後、レントゲンで骨に異常がないことが確認できたので、血液検査を行い結果待ちとなった。

 来院から数日後、尿酸値は8.4mg/dL。高尿酸血症の状態による痛風発作の可能性が高いと診断された(尿酸値7.0mg/dLを超えると高尿酸血症の状態となり要注意となる)。

 話を発作初日へ戻す。病院からの帰りも痛みはあったが歩けたので、Mさんは「人によって痛さの程度が違うのかな」と痛風を甘く考えていた。しかし、本当の地獄は翌日からだった。

 翌日になると、右足は豚足のようにパンパンに腫れあがり、普段の靴下ははけない。いや、はく前に足を動かすと、ガガガガガッというもん絶する激痛が全身に走った。もちろん経験はないが、五寸釘で突き刺されたような痛みだった。ベッドから右足を空中に出した状態で終日、動けない。発作3日目も激痛は襲い続ける。しかし、空腹に耐えかねて深夜、外出することに。

 300メートルほど先のスーパーマーケットが30キロメートル先に思えるほど遠い。歩くのは無理だったので、自転車で右足をつけないようにしてノロノロ移動した。普段だと何とも感じないちょっとした段差が悪魔の所業に感じる。ハンディキャップを持つ人の視点を考えるよい機会になったとMさんは振り返る。

 担当医師からは、水分を多めに取るようにと指示を受けた。また、患部をお湯やカイロなどで温めると悪化させるので、アイシングするようにとの助言をもらっていた。医師の説明通り、痛みは3日ほどでピークアウトし、7日目にはうそみたいになくなった。