中国の航空宇宙分野における野心に対して、欧米諸国は地政学的な鉄ついを下す用意があるようにも見える。だが、多くの企業が絡む利害関係が、その攻撃を明らかに致命的なものにならないようにしている。米国と欧州連合(EU)は先週、17年間に及んだ航空機をめぐる貿易摩擦を解消し、「相手方に損害を与える可能性のある」開発支援をやめることに合意した。いささか曖昧な表現だが、合意の背景には、双方が中国に対する統一戦線を張りたいという思惑があることは明らかだ。中国国有大手の中国商用飛機(COMAC)が製造するナローボディー(単通路機)のジェット機「C919」は今年就航予定だ。国際市場でボーイング737MAXやエアバスA320neo(ネオ)に対抗することはできないが、今後4年間で国内の先進的製造業を強化するという中国政府の計画で重要な部分を担っている。世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性が高いものの、中国の主要航空会社――こちらも国有――はすべてこの航空機を使用できるようになる。中国政府は他の策も講じており、これまでのところボーイング737MAXの運航再開を認めていない。