米国の株式市場は、表面上は異様なほど静まり返るが、その下では数十年ぶりにみられる混乱が渦巻いている。SP500種株価指数はあまりにも穏やかなために戸惑うほどだ。同指数は昨年10月末以降、終値ベースで5%の調整すら起きていない。新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)下で株を買い始めたデイトレーダーの新たな層が、市場は常に上がるものだと考えるのは無理もない。SP500が前回、これほど長期に落ち着いていたのは2017年だ。2018年初めの株価急落で幕を閉じたが、当時はもっと長い間もっと静かな状態が続いた。もっとも株の種類別にパフォーマンスを見ると、それぞれ通常より振れ幅が大きいことがわかる。投資家は、危機の時しか行わないペースで業種間の乗り換えを行っている。3月にはセクター間のパフォーマンスの差が2002年以降で最大に開いた。